■ラマヌジャンのτとΔ(その3)

【2】保型形式とラマヌジャンの愛した和

 ラマヌジャンは

  Σn^5/{exp(2πn)-1}=1/504

  Σn/{exp(2πn)-1}=1/24-1/8π

  Σn^3/{exp(2πn)-1}=1/80(ω/π)^4-1/240

  Σ1/n{exp(2πn)-1}=-π/12-1/2log(ω/√2π)

も証明している.

 ここで,πとωはそれぞれ,

  π=2∫(0,1)1/√(1-x^2)dx=3.14159・・・(円周率)

  ω=2∫(0,1)1/√(1-x^4)dx=2.62205・・・(レムニスケート周率)

  ∫(0,1)1/(1-x^4)^(1/2)dx=Γ^2(1/4)/2^(5/2)π^(1/2)

 ガウスの算術幾何平均

  M(a,b)=π/2/∫(0,π/2)dθ/(a^2cos^2θ+b^2sin^2θ)^(1/2)

より

  M(√2,1)=π/ω

また,レルヒの公式

  Δ(i)=(ω/π√2)^12=Γ^24(1/4)/2^24π^18

  E4(i)=3(ω/π)^4=3Γ^8(1/4)/64π^6

もこの兄弟分にあたる.

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 どうやってこれらの級数を証明したらいいのだろうか?

 アイゼンシュタイン級数

  E6 → Σn^5/{exp(2πn)-1}=1/504

  E2 → Σn/{exp(2πn)-1}=1/24-1/8π

  E4,ラマヌジャンのΔ → Σn^3/{exp(2πn)-1}=1/80(ω/π)^4-1/240

を用いればこれらを証明できるということであった.

  [参]黒川信重・栗原将人・斉藤毅「数論U,Fermatの夢と類体論」岩波書店

からの受け売りの証明を記しておく.

  Ek(-1/z)=z^kEk(z)  (双対性)

にz=iを代入すると−1/i=iになることを利用するのである.

  Σn^5/{exp(2πn)-1}=1/504

(証)E6(-1/z)=z^6E6(z)にz=iを代入すると,E6(i)=i^6E6(i)=−E6(i)よりE6(i)=0

  E6(i)=1−504Σσ5(n)exp(-2πn)=1−504Σn^5/{exp(2πn)-1}

  Σn/{exp(2πn)-1}=1/24-1/8π

(証)E2(-1/z)=z^2E2(z)+6z/πiにz=iを代入すると,E2(i)=-E2(i)+6/πよりE2(i)=3/π

  Σσ(n)exp(-2πn)=Σn/{exp(2πn)-1}=1/24-1/8π

  Σn^3/{exp(2πn)-1}=1/80(ω/π)^4-1/240

(証)レルヒの公式より,E4(i)=3(ω/π)^4

  E4(i)=1+240Σσ3(n)exp(-2πn)=1+240Σn^5/{exp(2πn)-1}

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