■代数的整数と最小拡大数体(その17)
代数的数とは代数方程式の解のことです。
代数方程式というのはx^3+x+7=0のように整数を係数とする方程式のことで、
代数的数は有理数を含みます。例えば、x=12/35は35x-12=0の解ですから、代数的解です。
無理数x=√2はx^2-2=0の解ですから、代数的解です。
しかし、x=πのような無理数は入っていません。
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京都大学の入試問題(2006年)に
[Q]tan1°は有理数か? 無理数か?
という問題が出題されているそうである.
[参]吉田信夫「極限的数論入門」現代数学社
によるとtan30°=1/√3(無理数)なので,tan1°は無理数であるとのことであるが,もう少し考えてみよう.
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背理法で証明する,正接の加法定理
tan(x+y)=(tanx+tany)/(1−tanx・tany)
において,tanxとtanyの両者が有理数ならばtan(x+y)も有理数である.
tan1°が有理数と仮定すると,tan2°も有理数である.tan2°が有理数と仮定すると,tan3°も有理数である.この操作を繰り返すとtan30°も有理数となるが,実際は無理数であるから矛盾する.(もちろん,tan60°も有理数となるから矛盾であるとしてもよい.)
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[Q]tan1°は代数的数か? 超越数か?
[参]吉田信夫「極限的数論入門」現代数学社
によると,tan45°=1なので,同様の論法によりtan1°は高々45次の代数的数である(少し考えてみてほしい).
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