■ペル方程式とディオファントス近似(その61)
φ=(√5+1)/2は2次方程式x^2−x−1=0の根であり,
φ=1+1/φ
このφの値を右辺のφに入れれば
φ=1+1/(1+1/φ)
さらに,この右辺のφに代入し,・・・ということを繰り返せば
φ=1+1/(1+1/(1+1/(1+1/(1+1/1+・・・)
となります.
すなわち,
(1+√5)/2=[1;1,1,1,1,1,・・・]
なのですが,黄金比はユークリッドの互除法によって「1」だけを使って無限連分数に展開できる無理数であり,その意味では最も基本的で最もゆっくり収束する無理数であり,最もシンプルなフラクタル生成装置ともいえます.
====================================
連分数とは,
a1/(b1+a2/(b2+a3/(b3+a4/(b4+a5/b5+・・・)
のような分数を続けた式で,実用上は最初にa0+をつけた形が使われます.
整数論で使われる連分数は普通,ak=1,bkが正の整数である標準連分数です.
連分数の第n近似分数wnは
p-1=1,p0=0,pk=akpk-2+bkpk-1
q-1=0,q0=1,qk=akqk-2+bkqk-1 (k=1,2,・・・)
をつくると,wn=pn/qnとして計算できます.wnの値だけが必要ならば,除法は最後の1回だけで済むというわけです.そして,標準連分数はすべて収束し,その際,近似分数列{wn}は振動しつつ,交互に上下から収束する形になります.
p-1=1,p0=0,pk=pk-2+bkpk-1
q-1=0,q0=1,qk=qk-2+bkqk-1 (k=1,2,・・・)
√2=[1;2,2,2,2,2,・・・]の場合は
p0=1,p1=1,pk=pk-2+2pk-1
q0=0,q1=1,qk=qk-2+2qk-1
pk=1,1,3,7,17,41,99
qk=0,1,2,5,12,29.70
となって、x^2-2y^2=1とx^2-2y^2=-1の解を交互に対応する。
7^2-2・5^2=-1、17^2-2・12^2=1
====================================