■オイラーとフェルマーの最終定理(その7)

  x^2+y^2=z^2

に対して

  x^3+y^3=z^3

  x^4+y^4=z^4

には,等式を満たすような整数の組み合わせがないことをオイラーが証明.しかし,さすがのオイラーも5より大きいベキについては匙を投げた.

[1]x^5+y^5=z^5  (ディリクレ,1829年)

[2]x^7+y^7=z^7  (ラメ,1839年)

[3]x^n+y^n=z^n,n<100  (クンマー,1857年) には,等式を満たすような整数の組み合わせがないことが証明される.

[4]1980年代に入って,フライが,もし,a^n+b^n=c^nを満たす解があるとすると,楕円曲線

  y^2=x(x−a^n)(x+b^n)

が得られる.しかし,これは極めて異様なことと考えられた.例えば,多項式

(x−a^n)(x+b^n)=x^2-x(a^n-b^n)-a^nb^n

の根の存在を決定する判別式

Δ=(a^n-b^n)^2+4a^nb^n

Δ^1/2=a^n+b^n=c^n

は完全なn乗式である.彼の楕円曲線は話がうますぎて,信じられない性質をもっていることに気づいたのである.

[5]リベットはフライの状況証拠説を証明,フライ曲線がモジュラー関数によってパラメライズされえない,すなわち,谷山・志村予想が正しければフェルマー予想も正しいことを意味する.いまやこの問題は谷山・志村予想を証明するだけという状況になった.

[6]そして,ワイルズが谷山・志村予想を証明,したがって,フェルマー予想も正しい.

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