■代数曲線・代数曲面(その3)

【1】代数曲線と代数曲面

 18,19世紀になると,2次曲線論に続いて3次および4次曲線について論じられた.3次曲線の分類には,2次曲線とは異なった種類の難解さが要求されたが,ニュートンはあらゆる場合を考察して,最終的に3次曲線は全部で78種類が必要であることを示すに至り,さらに3次曲線の一般式が5個の標準形に帰することを示した.

 代数幾何学において重要な変換に双有理変換(クレモナ変換)があるが,ニュートンは楕円,放物線,双曲線から3次曲線を得るのに双有理変換を使っている.この例からわかるように代数曲線の次数は双有理変換で不変ではないが,種数は不変である→[補].

 ニュートンの3次曲線の分類に引き続いて,オイラーは4次平面曲線の分類を企てたが,可能な場合の数が非常に多いという理由で断念している.この問題に対する答えは長い間知られていなかったが,プリュッカーが19世紀に4次曲線の152の型を数え上げることによって解かれた.プリュッカーはオイラーが4次曲線の分類で犯した多くの誤りを見つけたが,18世紀の解析幾何とは違って,高次曲線,曲面は解析幾何の対称ではなく,代数幾何の分野となった.

 1849年,ケーリーは滑らかな3次曲面はすべてある一定数の直線を含むこと,サーモンはその数は27であることを証明した.1次曲面(平面)は∞^2個,2次曲面は∞^1個の直線を含み,一般の3次曲面では(少なくとも1本の直線を含むが)その数は高々有限個(27本)である.それに対して,一般のn次曲面(n>3)は直線を全然含んでいない.

 シュレーフリは3次曲面上の27本の直線の組に従って,滑らかな実3次曲面を5組に分類した.この5組にはそれぞれ27,15,7,3,3本の実直線,そして3直線を含む実平面が45,15,5,7,13入っている.

 アルキメデスの墓石に円柱・円錐・球,ガウスの墓石に正17角形が彫られた如く,ケーリーとサーモンの墓石には27本の直線を彫るべきだとシルベスターがいったことは19世紀にこれらの3次曲線がいかに重要視されたかを物語るものだろう.

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