■学会にて(京大数理解析研,その118)
研究会での発表の中から、浜田忠久先生(筑波大学)を取り上げたい
xの小数部分x−[x]を{x}と書くことにすると,0≦{x}<1である.ここで無理数α=(0,1)をとり、
{iα}={0},{α},{2α},・・・,{nα}
を考える。このとき、区間[0,1]はn+1個の区間に分割されるが、1950年代にスタインハウスは区間幅は多くても3つに限られると予想した。
このうちの一つは他の2区間の和となっている。
浜田先生が発表されたのは、スタインハウスの問題に対する視覚的証明である。
A concise geometric proof of the three distance theorem
===================================
n位のファレイ数列とは分子と分母がnを超えない既約な正の有理数全体を大きさの順に並べたものであるが,まず[0/1,1/1]からはじめ,(0+1)/(1+1)=1/2をはじめの2つの分数の間に挿入する.→[0/1,1/1]
漸次,隣接する2項p/qとr/sの間に中間分数
(p+r)/(q+s)
を挿入する操作を可能な限り続けることによって得られる.「ただし,第n列の分母はすべてnを超えないものとする.」
[0/1,1/1]
→[0/1,1/2,1/1](2位のファレイ数列)
→[0/1,1/3,1/2,2/3,1/1](3位のファレイ数列)
→[0/1,1/4,1/3,1/2,2/3,3/4,1/1](4位のファレイ数列)
→[0/1,1/4,1/3,2/5,1/2,3/5,2/3,3/4,1/1](5位のファレイ数列)
→[0/1,1/6,1/5,1/4,1/3,2/5,1/2,3/5,2/3,3/4,4/5,5/6,1/1](6位のファレイ数列)
→[・・・,0/1,1/7,1/6,1/5,1/4,2/7,1/3,2/5,3/7,1/2,4/7,3/5,2/3,5/7,3/4,4/5,5/6,6/7,1/1,・・・](7位のファレイ数列)
→[0/1,1/5,1/4,2/7,1/3,3/8,2/5,3/7,1/2,4/7,3/5,5/8,2/3,5/7,3/4,4/5,1/1](8位のファレイ数列)
が得られる.
===================================
[0/1,1/1]に対して、傾き1の直線で(0,0)-(1,1)を結ぶ
[0/1,1/2,1/1]に対して、傾き2の直線で(0,0)-(1/2,1),(1/2,0)-(1,1)を結ぶ
[0/1,1/3,1/2,2/3,1/1]に対して、傾き2の直線で(0,0)-(1/3,1),(1/3,0)-(2/3,1),(2/3,0)-(1,1)を結ぶ
・・・
横軸にα、縦軸に{iα}]をとる。
このとき、αが有理数であれば区間幅は1種類(同じ長さ)に限られることがわかる。
αが無理数でa/b<α<c/dであれば、2個の三角形と1個の台形より
区間幅bα-aがn+1-b個
区間幅c-dαがn+1-d個
区間幅(b-d)α+(c-a)がb+d-(n+1)個 (b+d>(n+1))
生じるので、区間幅は多くても3つに限られる
===================================