■ポール・エルデス・離散数学の魅力(その84)

【3】有限射影平面(パップスの配置とファノの配置)

 パップスの配置には9個の点と各々3つの点をもつ9本の直線が含まれています.それに対して,ファノの配置は7つの点,各々3つの点をもつ7本の「射影直線」よりなり,このことが射影平面の双対性と結びついてきます.さらに,一般に有限射影平面についてち述べておきましょう.

 1本の直線上にn個の点があるアフィン平面をn次のアフィン平面と呼びます.有限アフィン平面Fq×Fqは

  {(x,y)|ax+by=c,a,b,c,x,yはFqに属する}

で定義されるものです.n次のアフィン平面では1点を通る直線はn+1本で,n^2個の点がありますから,全部で

  n^2(n+1)/n=n(n+1)

本の直線があります.

 最も簡単な有限アフィン平面はZ2×Z2で,4個の点を四面体状に結んだものです.また,n次のアフィン平面上では平行な直線はn本あり,平行な直線同士を集めた組がn+1組あります.

 アフィン平面では平行な直線が存在しましたが,しかし,すべての直線が交点をもつとしても矛盾を生じない幾何学の体系を考えることができます.アフィン平面に無限遠点,無限遠直線を加えて完備化すると射影平面が得られますが,完備化により点の数がn+1個,直線が1本増えます.したがって,n次射影平面における点の数はn^2+n+1,直線の数もn(n+1)+1=n^2+n+1で等しくなります.いいかえれば有限射影平面では各直線にn+1個の点を含み,各点を通ってn+1本の直線が引けることとなります.

 これを

  q=n^2+n+1

とおきますが,たとえば,2次の射影平面は7つの点,7本の直線よりなり,このことが射影平面の双対性と結びついてきます.

 最も簡単な射影平面は,有限体Z2上の2次元射影幾何であって,ファノ平面と呼ばれています.そして,7個の点p1〜p7を(1〜7)と略記することにして,例えば,7本の直線上の3点の組を(1,2,3),(1,4,5),(1,6,7),(2,4,6),(2,5,7),(3,4,7),(3,5,6)の7組の体系は射影幾何の公理系を満たすことになります.

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