■ポール・エルデス・離散数学の魅力(その83)
オイラーの士官36人の問題は6×6グレコ・ラテン方陣の問題です.あらゆる可能性を調べなければならない証明は厄介な話ですが,オイラーの士官36人の問題の不可能性の証明などもその1例です.
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オイラーはこの問題は不可能であると結論づけました.膨大な量の計算をした可能性はありますが,彼がほんとうにすべてのケースについて検討していたのかは明らかではありません.というのは,この問題が解けないことを証明したのは1901年のタリーの証明なのです.
また,オイラーは6×6だけでなく2,6,10,14,18,・・・・,4n+2では解けないと予想しました.ところが,1959年にはボウズ,パーカー,シュリカンデが10次の解を示して,オイラー予想が間違いであることを示しました.2,6を除くすべての次数nについて直交ラテン方陣は存在します.オイラー予想は177年間見当はずれだったというわけです.
以来,解けないことが自明な2×2とタリーの示した6×6の場合だけであることが証明されました.驚くべきことに他のサイズならばどんな方陣であっても解が存在するのです.
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