■ポール・エルデス・離散数学の魅力(その72)
平面上に十分に多い点が与えられたとき、常に凸n角形を与えるn個の点を選び出すことができるか?
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[1]平面上に5つの点をどう配置しても必ず凸四角形をなす4点を選ぶことができる.
[2]平面上に9つの点をどう配置しても必ず凸五角形をなす5点を選ぶことができる.
この問題は戦前のブダペストでエシュテル・クラインによって提示された問題である.その会に出席していたポール・エルデシュとジョルジー・セケレシュはその本質的な理由を考えた.その3年後,エシュテルとジョルジーは結婚.エルデシュにより,この問題は「ハッピーエンド問題」と呼ばれることになった.
エルデシュは、20世紀の組み合わせ論の分野ではずば抜けた存在であった。一生を数学に捧げ、全財産を詰め込んだ旅行鞄を抱え、世界を旅した。数学の種をまいていって、世界中の500人以上の研究者たちと1500篇を超える論文を書いた。そして、
[3]平面上に17の点をどう配置しても必ず凸六角形をなす6点を選ぶことができる.
ことを証明した.
彼の仕事はどんなnについても、ある数g(n)が存在して
[4]平面上にg(n)個の点をどう配置しても必ず凸n角形をなすn点を選ぶことができる.
ことを証明した.しかし,なぜ常にそうなるのか本質的な理由はまだ解明されていない.何をどうやって証明すればいいのだろうか?
g(3)=3は自明であり、g(4)=5となることから、g(n)=1+2^(n-2)と予想された。
のちに、g(5)=9、g(6)=17が示された。n≧7に対するg(n)の値はよくわかっていない。
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