■ポール・エルデス・離散数学の魅力(その66)
【1】nと2nの間に素数がある
1845年にフランスの数学者ベルトランは任意の数nと2nの間には少なくとも一つの素数pが存在する(n<p≦2n),同じことですが素数pの次の素数は2pより小さい(pk+1 <2pk )という予想を立てました.
π(10)=4
π(100)=25
π(10^3)=168,π(10^4)=1229,π(10^5)=9592,π(10^6)=78498
π(x)〜x/logx
π(2x)-π(x)〜2x/(logx+log2)-x/logx〜x/logx-2xlog2/(logx)^2
ロシアの数学者チェビシェフがベルトランの仮説を証明しました.この証明は彼が実に18才のときだったそうですから,「栴檀は双葉よりの芳し」の諺のごとくです.チェビシェフの定理によって,素数の分布には何らかの秩序が存在していることになります.
さらに,チェビシェフは1852年に,十分大きなxについてπ(x)/(x/logx)がc1=0.92129とc2=1.10555の間にあるという結果を得ています.
c1x/logx<π(x)<c2x/logx
実はチェビシェフはもっと狭い範囲の中にも必ず素数が存在することを証明したのですが,1911年,イタリアの数学者ボノリスがnと3n/2の間にある素数の個数の近似式を導きました.
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チェビシェフによる証明は非常に込み入ったものでしたが、エルデシュによって初等的な証明が発見されました。
それは2nC2を巧みに利用するものです。
一方、ラマヌジャンはチェビシェフ関数を駆使して、ベルトラン予想を解決したというわけです。
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