■ポール・エルデス・離散数学の魅力(その62)
【1】素因数の累乗の評価
[1]n!を素因数分解したとき,ある素数pがp^rの形で含まれていたとすると,ガウス記号[・]を用いて
r=[n/p]+[n/p^2]+・・・+[n/p^s]+・・・
n=20,p=2に対して、具体的に計算してみると
r=[20/2]+[20/2^2]+[20/2^3]+[20/2^4]+・・・+[n/p^s]+・・・=10+5+2+1=18
20!の素因数分解の素数2に関する部分が2^18であることがわかります。
===================================
[2]cn=2nCnを=(2n)!/(n!)^2
を素因数分解すると,√2nより大きい素数は現れてもp^1の形である.それ以下の素数がp^kの形で現れれば,p^k≦2nである.
(証明)この式に対応する不等式
[2n/p^s]−2[n/p^s]
は0か1であることよりQED.n/p^sの小数部分が0.5未満ならば0,0.5以上ならば1であることを具体的に確かめてみるとよい.
すなわち,素因数分解するとnより大きく2n以下の素数があれば,それらはすべて1乗の形の積として現れます.もしもその間に素数がなければ,n以下の素数の積で表されるはずです(実はさらに2n/3以下の素数の積なります.2n/3より大きくn以下の素数は分子に2回,分母に2回現れて約分される).
===================================
素数pは,√2n<p<2nを満たすとする。
このとき2nをpで割った商が奇数なら2nCnはpを1個だけ素因数としてもつ。
偶数なら、pを素因数としてもたない。
===================================