■ポール・エルデス・離散数学の魅力(その44)
ハドヴィガーの名前がついた予想はいくつかある.
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【1】ハドヴィガー予想(1943年)
「Kkをマイナーとして含まないグラフは,頂点を(k−l)色で彩色することが可能である.」
k=5の場合が4色定理に相当しますから,k≧6の場合は4色定理より強いことを主張しているというわけである.1993年に,ロバートソン,シーモア,トーマスによってk=6の場合が証明された.k≧7の場合は現在解明されていない重要な問題の中で,最も難しい予想のひとつと考えられている.
さらに,ロバートソンとシーモアはハドヴィガー予想が多項式時間で解決可能であることを証明した.このように彼らの取り組みは,離散数学の中でもとくにグラフ理論,アルゴリズム分野において数多くの深遠な結果と大きな前進をもたらしたのである.
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【2】ハドヴィガー予想(組み合わせ幾何学に関する)
[Q]ひとつの大きな図形を覆うのに,小さい相似形がいくつ必要か?
[A]大きな三角形を覆うには相似な小さい三角形が3枚必要.大きな四角形を覆うには相似な小さい四角形が4枚必要.
そこで,図形の被覆に関するハドヴィガー予想:
n次元図形の場合,必要な枚数は最大でも2n以内におさまる.
すなわち,正方形では4枚必要だが,立方体では小さな立方体が6個必要になるというもの.2次元の場合は証明されているが,3次元以上ではそれだけでは覆いきれない奇妙な図形が存在する可能性が残っているため,まだ証明されていない.
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