■ポール・エルデス・離散数学の魅力(その23)
自然数の中に等間隔になる数は当たり前であるから,素数の中に等間隔の並ぶ数を考える.
等間隔の素数
(3,5,7)3個組(公差2)
(3,7,11)3個組(公差4)
(29,59,89)3個組(公差30)
(11,17,23,29)4個組(公差6)
(7,19,31,43)4個組(公差12)
(5,23,41,59)4個組(公差18)
(5,11,17,23,29)5個組(公差6)
(5,17,29,41,53)5個組(公差12)
(11,41,71,101,131)5個組(公差30)
等差数列が素数だけで構成されるために,公差に課される条件は偶数でなければならない.とくに,長さが3以上の等差素数列を作るためには,公差は偶数かつ3の倍数でなければならない.すなわち6の倍数でなければならない.
3個組,4個組,5個組,・・・ときて,26個組の存在は知られているが,50個組,100個組は存在するだろうか?
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【1】エルデシュ予想
「自然数列{ai}がΣ1/ai=∞を満たすならば,自然数列{ai}は任意の長さの等差数列を含む.」
Σ{1/p)→∞なので,エルデシュ予想を証明すれば各項が素数である任意の長さの等差数列が存在することがわかる.
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【2】セメレディの定理
十分大きな集合の中からどれだけ少ない割合の数を選んだとしても,必ず長い等差数列が見つかる.
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【3】グリーン・タオの定理
ここで,素数のみからなる等差数列,
a,a+d,・・・,a+(n−1)d
において,「任意に長いn個の素数の等差数列が存在する.」(グリーン・タオの定理:2004年)
つまり,3個組,4個組,5個組,・・・,n個組.nは100個でも100万個でも好きな数だけ等差数列を作れるのである.ただし,公差dを指定することはできない.この事実は2004年にグリーンとタオによって証明された.
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