■ポール・エルデス・離散数学の魅力(その17)

 ハミルトンは正12面体の辺をたどり,20個の頂点すべてを1回ずつ通り,出発点の戻ることは可能かという問題をたてた.これがグラフ理論の「ハミルトン閉路」という概念をもたらした.

 立方体や切頂八面体もすべての頂点を1回ずつ回るようなハミルトン閉路をもっている.このことは立方体を8角形に写し,閉路を8角形の境界に写すことと同値である.

 多面体に限らず,グラフはどんなときにハミルトングラフになるだろうか?

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【1】必要条件

 連結であること(どの頂点と底に接続する辺を削除しても連結であること)

【2】十分条件

 頂点数v(≧3)のグラフが,vの数にかかわらずハミルトングラフになるためには,各頂点次数≧v/2であること(ディラックの定理,1952年).

このディラックの継父は1933年ノーベル物理学賞を受賞した有名なポール・ディラックである.

 頂点数v(≧3)のグラフが,vの数にかかわらずハミルトングラフになるためには,隣接でない2頂点の頂点次数の和が≧vであること(オアの定理,ディラックの定理の改良版).

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[まとめ]どうもおかしい.立方体の頂点次数は3であるが,頂点次数≦8/2=4.

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