■ポール・エルデス・離散数学の魅力(その9)

 ベルトラン仮説とは,n≧2について,nと2nの間には少なくともひとつの素数が存在するというものである.

 素数定理

  π(x)〜x/logx

を使うと,大きなnに対して

  π(2n)−π(n)〜2n/log2n−n/logn〜n/logn

が成り立つ.

 右辺はいくらでも大きくなるから,十分大きなnに対してはベルトラン仮説が成り立つことになる.

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 一方,ルジャンドル予想とは,n^2と(n+1)^2の間には少なくともひとつの素数が存在するだろうというものである.

  π((n+1)^2)−π(n^2)〜(n+1)^2/2log(n+1)−n^2/2logn〜n/logn

となって,これでよしと思いきや,この誤差評価では不十分であるとのことで,予想はまだ解決されていない.

 その理由は,ベルトラン仮説のダイナミックレンジが

  2n/n=2

であるのに対しで,ルジャンドル予想では,n→∞のとき,

  (n+1)^2/n^2→1

であるからだそうだ.

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 なお,

  π((n+1)^3)−π(n^3)〜(n+1)^3/3log(n+1)−n^3/3logn〜n^2/logn

  (n+1)^3/n^3→1

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