■ブルン・ミンコフスキーの不等式(その2)
【2】凸体の点対称化
凸体Kを原点の周りで180°回転させて得られる図形を−Kあるいはrot(K)で表す.Kに対して点対称化図形K~を
K~=1/2(K+(−K))
で定義する.図形−Kの原点を図形Kの境界に沿って動かすときのミンコフスキー和であるが,前述した−KからKへの連続変形のt=1/2の場合であり,図形Kが四角形のときK~は八角形,Kが四面体のときK~は立方八面体状図形になる.
このとき,
|K|≦|K~|
が成り立つ(等号成立は−KがKの平行移動であるとき).
また,Kが2次元図形であれば周長と直径は不変である.
L(K)=L(K~),D(K)=D(K~)
3次元図形であれば直径は不変である.
D(K)=D(K~) (表面積は不変ではない)
===================================
【3】マクハの不等式
図形Kの内部直径とはK内の2点P,Qの距離の最大値である.外部直径とはKの2点X,Yの線分の長さの最大値である.別ないい方をすればKに住んでいる人にとっての直径が内部直径,Kを含む空間に住んでいる人から見た最大幅が外部直径である.
半径Rの球面の場合,内部直径Dinは大円の半分であるからπR,外部直径Doutは北極と南極を結ぶ線分の長さ2Rである.
Din/Dout=π/2
ルーローの三角形のような定幅図形でも
Din/Dout=π/2
が成り立つ.
一般の空間図形の場合は
Din/Dout≦π/2
が成り立つことが知られている.等号は定幅曲面で回転面になっているものである.
===================================
【4】アレクサンドロフ予想
空間内のなめらかな閉曲面Mの面積Aと内部直径Dについて
A/D^2<π/2
が成り立つだろう(等号はMが2枚の円板に退化した場合).
===================================