■ヤング図形とフック長公式(その11)
【5】交代行列式とマヤ図形
1968年,ヤング図形と同様の図形があるゲームに関連して佐藤幹夫先生によって導入され,マヤ図形と呼ばれています.ヤング図形と別の表現としてマヤ図形を用いる方が便利なことも多いのですが,マヤ図形は1次元的に配列されたセルにフェルミオンが分配されていることを示す図形であると考えることができます.
1つのセルにはフェルミオンは1個しか入れないものとします.そして,粒子が入っているセルには○,入っていないセルには●を書くことにしますが,フェルミオンが入っているセルは縦棒を伸ばすことに,入っていないセルは横棒を伸ばすことに対応させると,ヤング図形と1:1対応します.
○○●●= ●●○○=□□ ○●○●=□
□□
●○●○=□□ ○●●○=□□ ●○○●=□
□ □
ここでは,交代行列の行列式について考えてみます.
|0 a12|=(a12)^2
|−a12 0|
|0 a12 a13|
|−a12 0 a23|=0
|−a13 −a23 0 |
|0 a12 a13 a14|
|−a12 0 a23 a24|
|−a13 −a23 0 a34|
|−a14 −a24 −a34 0 |
=(a12a34−a13xa24+a14xa23)^2
一般に,n次の交代行列(X’=−X)すなわちxii=0,xij=−xjiであるとき,その行列式はnが奇数ならば0,偶数ならばある多項式の完全平方式になることがわかります.
|0 x12 x13・・・x1n|
|−x12 0 x23・・x2n|=P^2 (n:偶数)
|・・・・・・・・・・・・| 0 (n:奇数)
|−x1n −x2n・・・0 |
このときPをパフィアンといいます.4次のパフィアンは
P=a12a34−a13xa24+a14xa23
です.パッフは微分方程式のパッフ形式で有名で,ガウスの博士論文の審査員であったことでも知られています.
Pの符号はマヤ図形やヤング図形を用いたテンソル積によって定めるのですが,たとえば,4次のパフィアンはマヤ図形を用いて
(1,2,3,4)=(1,2)(3,4)-(1,3)(2,4)+(1,4)(2,3)
○○○○×●●●●= ○○●●×●●○○
−○●○●×●○●○
+○●●○×●○○●
と展開されます.
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