■掛谷予想(その16)
(1)食塩の結晶
食塩(NaCl)は,Na+イオンとCl-イオンが交互に並んだジャングルジム状のイオン結晶であり,また,マーデルング定数とは,結晶中にある多数のイオン間の相互作用をすべて加算したものであって,結晶構造が決まれば決定される物性量である.
NaClのマーデルング級数は,
6−12/√2+8/√3−6/2+24/√5−・・・
であり,食塩のマーデルング定数は,
α=1.747565
と計算されている.
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食塩の場合,正負のイオンが交互に並んでいるため,単純立方格子(□の字の3次元版)を平行移動(並進)しても隣接する単純立方格子に重ねることができない.そのため,単純立方格子を8個合わせた複合格子を単位格子として考えることにする.この単位構造は田の字の3次元版であって,繰り返し並べていくことによって,周期性をもった食塩の結晶が形成される.
この単位構造は,Na+イオンに着目すればわかるように,立方体の頂点と各面の中心にNa+イオンがある面心立方格子である.辺の中心と立方体に中心にはCl-イオンがあるが,Cl-イオンに着目しても面心立方格子からなっていて,食塩の結晶は,Na+イオンよりできている面心立方格子とCl-イオンよりなる面心立方格子が互いに貫入している相貫体である.
また,単位格子のカドの格子点は8つの単位格子にまたがって存在していて,実質的にはe/8の電荷が有効に効くとして計算する.したがって,カドの格子点1/8が8個,同様にして,面心の格子点は1/2が6個,辺心の格子点は1/4が12個,体心の格子点は1個と数えるので,この単位格子の中には4個のNaCl分子が入っていることになる.
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SPLAGのZ^3のデータを用いて,食塩のマーデルング定数を第44近接まで計算してみたところ,
6−12/√2+8/√3−6/2+24/√5−・・・−12/√51
=34.473
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