■掛谷予想(その3)

フラクタルとは有限の空間に無限の集合がたたみこまれたものである。長さが有限の場合はその長さを精密に計算し評価することができるが、長さが有限でない場合はそれ以上測りようがなくなってしまう。

ハウスドルフ次元には次元と呼ばれるパラメータが備わっており、長さが有限でない曲線の大きさを測ることができる。例えば、・・・

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【1】コッホ曲線

 コッホ曲線では1回の操作ごとに全体の長さは1/3ずつ増えるので,n回後の長さは(4/3)^nである.この曲線は1次元の線ではない.また,同時に2次元でもない.そこで,このような曲線はフラクタル次元をもつといわれ,その次元は

  log4/log3=1.26

で,線の次元よりは上だが,面の次元よりは下になる.

 方眼紙を1枚もってきてこの図形にかぶせ,この図形を覆っているマス目の個数を数える.つぎにマス目の大きさを半分にした方眼紙で同じことを繰り返す.もとの図形が線であればマス目の数は2=2^1倍に,面であればマス目の数は4=2^2倍に増える.

 コッホ曲線では,マス目の大きさを1/3にした方眼紙で同じことを繰り返すと画素数は4倍になるから,

  3^d=4→d=log4/log3=1.26

マス目の大きさを半分にした方眼紙であれば,2^1.26倍に増えるのである.

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【2】シェルピンスキーの三角形

 ます単純な三角形を描き,次にもとの三角形の半分の大きさの三角形を3つ作って,もとの三角形のそれぞれの隅におく(三角形を4つの合同な三角形に分割して中央の三角形を取り除く).これを無限回繰り返す.

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 マス目の大きさを半分にした方眼紙で同じことを繰り返すと画素数は3倍になるから,そのフラクタル次元は

  2^d=3→d=log3/log2=1.585

となる.

 その3次元版,ます単純な四面体を描き,次にもとの四面体の半分の大きさの四面体を4つ作って,もとの四面体のそれぞれの隅におく.これを無限回繰り返す.

 マス目の大きさを半分にした方眼紙で同じことを繰り返すと画素数は4倍になるから,そのフラクタル次元は

  2^d=4→d=log4/log2=2

となる.

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【3】シェルピンスキーのカーペット

 ます単純な正方形を描き,次にそれを同じ大きさの9つの正方形に分割して,中央の1個を取り除く.これを無限回繰り返す.

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 マス目の大きさを1/3にした方眼紙で同じことを繰り返すと画素数は8倍になるから,そのフラクタル次元は

  3^d=8→d=3log2/log3

となる.

 その3次元版(メンガーのスポンジ)では,ます単純な立方体を描き,次に同じ大きさの27個の正方形に分割して,体心と面心に位置する7個を取り除く.これを無限回繰り返す.

 マス目の大きさを1/3にした方眼紙で同じことを繰り返すと画素数は20倍になるから,そのフラクタル次元は

  3^d=20→d=log20/log3

となる.

 細分が進むにつれて,メンガーのスポンジの体積はどんどん小さくなるが,表面積は際限なく増え続ける.

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