■ダンデリンの2球問題(その2)

 デューラーはニュルンベルク生まれの偉大な版画家である。遠近法を使って、今日でもたびたび目にする一連の版画を製作した。

「書斎の聖ヒエロリスは消失点が絵のかなり右のほうにあり、鑑賞している人が一緒に部屋の中にいるかのような効果を生み出している。

 デューラーの版画の中でもっとも有名なのは「メランコリア」である。右上に描かれている魔方陣の一番下の行に並んでいる1514はこの版画の製作年を表しているという。

切頂菱面体はデューラーの立体と呼ばれている。砂時計や天秤、はしごなどは何を表現しているのだろうか?

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 デューラーはさまざまな幾何学図形とくに円錐を切るときにできる楕円について研究した。しかし、デューラーは円錐の頂点に近いところを切ると楕円は鋭くなり、底面に近いところを切ると太くなると思い込んでいた。

そのため、デューラーの描いた楕円はニワトリの卵のように下端が幅広になっている。

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 奥行きを錯覚させるための数学的格子・遠近法に興味を持ったデューラーは錘をつけた糸を壁のフックにひっかけ、その糸を対象物の上の点から絵のフレームの中を通って伸ばすことで、キャンバス上のその点を記録するという、かなり手の込んだ手法を使った。

 また、外転サイクロイドを描いたが、彼は数学者出なかったため、正確な解析を行うための道具を持っていなかった。

平面上にらせん曲線を投影して渦巻線を描き、作品に取り入れたり、近似的な正九角形も作図した。

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 デューラーはいろいろな面で時代を進みすぎていて、高度な数学的道具を使って芸実作品を作るほどまだ数学は進歩していなかったのである。

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