■五芒星と掛谷の問題(その203)
2次方程式から3次方程式までは約3千年の時間を要したのですが,それに比べて,4次方程式の解法は非常に短時間でなされたことになる.
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【1】4次方程式の解法(オイラーの方法)
引き続いて,4次方程式:
ax^4+bx^3+cx^2+dx+e=0
では,x=u−b/4aとおけば,
u^4+pu^2+qu+r=0
p=(8ac−3b^2)/8a^2
q=(b^3−4abc+8a^2d)/8a^3
r=(−3b^4+16ab^2c−64a^2bc+256a^3e)/256a^4
というように3次の項を欠いたuに関する4次方程式が得られます.カルダノ変換によって,まず3次の項を消すのです.
また,因数分解の公式
a^3+b^3+c^3−3abc
=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2−ab−bc−ca)
=(a+b+c)(a+bω+cω^2)(a+bω^2+cω)
は,巡回行列式
|a b c|
Δ=|c a b|=a^3+b^3+c^3−3abc
|b c a|
より得られるのですが,それと同様に,
|a b c d|
Δ=|d a b c|
|c d a b|
|b c d a|
=a^4+b^4+c^4+d^4−2(a^2b^2+a^2c^2+a^2d^2+b^2c^2+b^2d^2+c^2d^2)+8abcd
=(a+b+c+d)(a+b−c−d)(a−b+c−d)(a−b−c+d)
と因数分解できることを利用することにしましょう.
u^4−2(x^2+y^2+z^2)u^2+8xyzu+x^4+y^4+z^4−2(x^2y^2+x^2z^2+y^2z^2)
=(u+x+y+z)(u−x−y+z)(u−x+y−z)(u+x−y−z)
すなわち,uの4次式でu^3の項を欠いており,因数分解できる恒等式となっています.読者のなかにはこの式に対称の美を感じる人もいるのでしょうが,それにしてもずいぶん荘厳な(いかめしい)式です.
ともあれ,
p=−2(x^2+y^2+z^2),
q=8xyz,
r=x^4+y^4+z^4−2(x^2y^2+x^2z^2+y^2z^2)
なるx,y,zが見いだされれば,解は
u=−x−y−z
u=x+y−z
u=x−y+z
u=−x+y+z
となることがわかります.
ここで,X=x^2,Y=y^2,Z=z^2とおけば,
X+Y+Z=−p/2
XYZ=(q/8)^2
XY+YZ+ZX={(X+Y+Z)^2−(x^4+y^4+z^4)}/2=(p^2/4−r)/4
より,X,Y,Zは
U^3+p/2U^2+(p^2/4−r)/4U−q^2/64=0
の解ということになりますから,3次方程式の根の公式に帰着され,係数で具体的に表せることが理解されます.
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【2】4次方程式の解法(フェラーリの方法)
以上が3次方程式の解法に類似したオイラーの方法ですが,4次方程式の解法を初めて発見したのはフェラーリですからから,その解法も述べておかなければなりません.
3次の項を欠いた4次方程式
u^4+pu^2+qu+r=0
すなわち,
u^4=−pu^2−qu−r
の両辺に2次式:2vu^2+v^2を加えて,
u^4+2vu^2+v^2=(2v−p)u^2−qu+v^2−r
とすると,左辺は(u^2+v)^2となって完全平方になります.
右辺の2次式は,判別式
D=q^2−4(2v−p)(v^2−r)=0
のとき完全平方になりますから,D=0が成り立つようにvを定めると
u^2+v=±√(2v−p){u−q/2(2v−p)}
と変形され2つの2次方程式に帰着されます.
D=0の式を,vについて整理すると,
8v^3−4pv^2−8rv+(4pr−q^2)=0
の解として求まることになりますから,結局,フェラーリは次数4の方程式は2次方程式と3次方程式に帰着させることができ,したがって平方根と立方根によって解けることを発見したのです.
フェラーリの方法は平方完成によるものですが,図形的に解釈すると,4次元の超立方体の分割によるものではなく,正方形の分割を2度適用することに基づいています.
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【3】4次方程式の解法(デカルトの方法)
それに対して,デカルトの方法とは
u^4+pu^2+qu+r=(u^2+ku+l)(u^2−ku+m)
と2つの2次方程式に因数分解する方法です.
両辺の係数を比較すると,
l+m−k^2=p
k(m−l)=q
lm=r
より
l=(p+k^2−q/k)/2
m=(p+k^2+q/k)/2
l,mを消去すると
k^6+2pk^4+(p^2−4r)k^2−q^2=0
この方程式は6次方程式ですが,k^2=Kとおけば,Kについての3次方程式になりますから解くことができ,したがって,
(u^2+ku+l)(u^2−ku+m)=0
の解として求まることになります.
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