■円盤の問題(その5)
【1】デルトイドの面積
n個の尖点をもつハイポサイクロイドは,パラメータθを用いて
x=(n−1)rcosθ+rcos(n−1)θ
y=(n−1)rsinθ−rsin(n−1)θ
と記述されます.θで微分すると
x’=−(n−1)rsinθ−(n−1)rsin(n−1)θ
y’=(n−1)rcosθ−(n−1)rcos(n−1)θ
ここで注意しなければならないことは,θは極座標(r,θ)のパラメータではないことです.そのため,
S=1/2∫r^2dθ r^2=x^2+y^2
として計算すると
S=(n^2−2n+2)・πr^2
となって正しい値が得られません.
計算方法はいくつか考えられるのですが,
S=∫ydx=∫yx’dθ
として計算するのが最も簡単なようです.その結果,ハイポサイクロイドの面積は
S=(n−1)(n−2)・πr^2
で表されることが計算されます.定円の半径をR(=nr)とした場合は,
S=(n−1)(n−2)/n^2・πR^2
となります.
デルトイドの場合はn=3,R=3rですから
S=2πr^2
となって回転円の面積の2倍に等しくなります.また,n→∞のとき
S→πR^2
となって定円の面積に近づきます.
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【2】デルトイドの接線の長さ
デルトイド
x=2cost+cos2t
y=2sint−sin2t
の場合,tで微分すると
x’=−2sint−2sin2t
y’=2cost−2cos2t
ですから,
dy/dx=−(cost−cos2t)/(sint+sin2t)
dy/dx=−(1−cost)/sint=tan(−t/2)
すなわち,接ベクトルの偏角が−t/2であることに気づけばπ−t/2,2π−t/2を容易に示すことができる.その結果,
P1(−2cost/2+cost, 2sint/2+sint)
P2( 2cost/2+cost,−2sinθ/2+sint)
これからP1P2=4(一定)となることがわかる.すなわち,デルトイドは3つの尖点をもつ図形であるが,デルトイドの接線が曲線に挟まれる部分の長さは一定であるという性質をもつのである.
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動円の半径rのデルトイドでは長さ4rの棒をデルトイドに接しながら1回転することができるというのと同じことを今度は複素数を用いて表してみる.
半径1/4の回転円が半径3/4の固定円に内接して滑ることなく転がっていくとき,回転円の周上の点の軌跡を考えると,
z=f(t)=1/2exp(it)+1/4exp(−2it)
パラメータt0における接ベクトルの偏角は−t0/2なので,接線の両端では
t1=−t0/2,t2=−t0/2+π
f(t1)−f(t0)= exp(−it0/2)sin^23t0/4
f(t2)−f(t0)=−exp(−it0/2)cos^23t0/4
これより,
|f(t1)−f(t2)|=1
が示される.
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デルトイドには「接線が曲線に挟まれる部分の長さは一定である」という性質があります.これはデルトイドでは長さ4rの棒をデルトイドに接しながら1回転することができるというのと同一です.
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[Q]デルトイドの接線が曲線に挟まれる部分の中点の描く軌跡は何か.
[A]「2円定理」により,半径2rの円が半径R=3rの円の内側を転がるとき,円上の固定された直径の描く包絡線はデルトイドになるわけですが,デルトイドの場合,この直径の両端も同じデルトイド上にあり,接線の中点の軌跡は半径rの円になります.
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正三角形を太ったデルトイドとみなすと,太った線分に相当するものが藤原・掛谷の2角形です.また,正三角形の中の藤原・掛谷の2角形の中心の運動は3つの楕円の弧を組み合わせた三角おむすび形の軌道になっています.
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