■五芒星と掛谷の問題(その175)

 25は平方数で27は立方数である.言い換えれば,26から1をひくと25(平方数)であり,26に1を加えると27(立方数)である.このように平方数と立方数に挟まれる数は他にはないというのが,

  y^3=x^2+2

の正整数による唯一の解は(x,y)=(5,3)であるというフェルマーの主張であった.

 これを仮想的な整数を導入して,以下のような証明を与えたのはオイラーである.

(証)x^2+2=(x+i√2)(x-i√2)

(x+i√2)=(a+bi√2)^3

=a^3+3a^2bi√2-6ab^2-2b^3i√2

=(a^3-6ab^2)+(3a^2b-2b^3)i√2

=a(a^2-6b^2)+b(3a^2-2b^2)i√2

(x+i√2)→a(a^2-6b^2)=x,b(3a^2-2b^2)=1

b=±1とすると,(3a^2-2)=±1→b=1のときa=±1

(1,1)→a(a^2-6b^2)=-5=x   (NG)

(-1,1)→-a(a^2-6b^2)=5=x  (OK)

さらにy=3.よって,フェルマーの主張が示された.

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 整数解を求めるもうひとつの有名な不定方程式(ペル方程式)は

  x^2-2y^2=1

である(オイラーが間違ってつけたこの方程式の名前はそのまま定着してしまった).

 x,yが十分大きな整数のとき,

  x/y→√2

すなわち,√2の近似有理数となる.また,(x,y)=(3,2)は正整数による唯一の解ではないが,最小の正整数による解である.

  3^2-2・2^2=1

  (3+2√2)(3-2√2)=1

  (3+2√2)^n(3-2√2)^n=1

より,

  xn+yn√2=(3+2√2)^n

を満たす正整数(xn,yn)が定まる.たとえば,(x2,y2)=(17,12)

 すると帰納法的に

  xn+1+yn+1√2=(3+2√2)^n+1=(3+2√2)^n(3+2√2)

=(xn+yn√2)(3+2√2)

=(3xn+4yn)+(2xn+3yn)√2

  xn+1=3xn+4yn

  yn+1=2xn+3yn

(xn+1)^2-2(yn+1)^2=(3xn+4yn)^2-2(2xn+3yn)^2

=(xn)^2-2(yn)^2=1

となって,(xn+1,yn+1)の解であることがわかる.

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  x^2-3y^2=1

の場合も同様で,x/y→√3,また,(x,y)=(2,1)

  2^2-3・1^2=1

  (2+√3)(2-√3)=1

  (2+√3)^n(2-√3)^n=1

より,

  xn+yn√3=(2+√3)^n

を満たす正整数(xn,yn)が定まる.たとえば,(x2,y2)=(7,4)

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