■中国剰余定理と惑星の合(その16)
【1】距離の2乗に反比例する力
イオン結晶の結合エネルギーは,イオン間のクーロン力によるもので,クーロン力は電荷の積に比例し,距離の2乗に反比例する力であるから,クーロンポテンシャル(静電エネルギー)Uは,
U=∫(∞,r)e^2/r^2dr=e^2/r eはイオンの電荷
で与えられる.
また,ニュートンは,逆2乗則にしたがう引力が宇宙のどの場所においても,どんな2つの物体の間にも例外なく存在するはずだという,実に大きな知的飛躍を試みて大成功をおさめました(万有引力の法則).
天体力学において,2つの物体まではニュートン力学によって解析的な計算を行うことができ,互いに引力を及ぼしあっている二つの物体は楕円,放物線,双曲線のうちのいずれかの軌道になることが証明されています.例えば,地球から打ち上げた人工衛星の初速が秒速7.9km(第1宇宙速度)のとき円,それ以上で秒速11.2km(第2宇宙速度)以下のとき地球を焦点とする楕円,秒速11.2kmのとき放物線,それより速いときは双曲線を描くといった具合です.放物線軌道,双曲線軌道になると地球の重力圏を脱出し,もう地球に戻ってくることはありません.このように,人工衛星の運動ではニュートン力学は実にうまくあい,相対性理論を使う必要はまずありません.
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【2】積分なしの位置エネルギー
逆2乗則にしたがう引力場における位置エネルギーは,積分を使って
U=∫(∞,r)cdr/r^2=c/r
で与えられるのですが,(積分を知らないとして)積分の代わりに相加平均・相乗平均の不等式を使って解を得ることを考えてみます.
f=c/r^2
U=ΣfΔr=cΣΔr/r^2
≒cΣ(1/r^2+1/(r+Δr)^2)/2Δr (平均値で近似)
ここで,相加平均・相乗平均の不等式は
1/r^2≒1/(r+Δr)^2
より
(1/r^2+1/(r+Δr)^2)/2≒1/r(r+Δr)
U=cΣΔr/r(r+Δr)
=cΣ{1/r−1/(r+Δr)}
=c{(1/r0−1/r1)+(1/r1−1/r2)+(1/r2−1/r3)+・・・}
=c/r0
が得られる.
[補]前進的な平均値近似を用いたが,中心的な平均値近似を用いると,
f≒(1/(r−Δr)^2+1/(r+Δr)^2)/2
≒1/(r−Δr)(r+Δr)
U=cΣ2Δr/(r−Δr)(r+Δr)
=cΣ{1/(r−Δr)−1/(r+Δr)}
=c/r0
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【3】雑感
,ニュートン以来の古典力学は解析力学という形で一応の完成をみました.もちろん,現在の科学はニュートン力学だけでは不十分で,光の速度に近いような非常に速い物体,原子とか量子とか非常に小さい物体の運動法則は,もはやニュートン力学ではうまく説明できません.そこで,アインシュタインの相対性理論という新しい力学が出現したのです.しかし,運動する速度があまり大きくない物体の運動,たとえば,人工衛星の運動ではニュートン力学は実にうまくあい,相対性理論を使う必要はまずありません.
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