■中国剰余定理と惑星の合(その10)

[Q1]ケプラーの3法則をもとにして力学を確立したのがニュートンですが,ニュートンの法則からケプラーの第2法則を導け(ニュートンからケプラーへ).

[A2]まず,準備としてxy平面の極座標(r,θ)を用いて

  r=r(θ)=a/(1+εcosθ)   (a>0,0<ε<1)

で表される曲線は原点を1つの焦点とする楕円で,εはその離心率となります.なぜなら,分母を払ってr+rεcosθ=a.また,r^2=x^2+y^2,rcosθ=xであるから

  x^2+y^2=a^2−2εax+ε^2x^2

  (1−ε^2)(x+εa/(1−ε^2))^2+y^2=a^2/(1−ε^2)

これは楕円の方程式です.

 この楕円は

  r(θ)=(r(θ)cosθ,r(θ)sinθ)

とパラメータ表示されますから,点P=r(θ)における接ベクトルは

 dr/dθ=(−asinθ/(1+εcosθ)^2,a(ε+cosθ)/(1+εcosθ)^2)

となることがわかります.以上の準備の下でケプラーの法則について考えてみましょう.

 rやθを時間tの関数として,’=d/dt,”=d^2/dt^2とすれば

  r(t)=(x(t),y(t))=(r(t)cosθ(t),r(t)sinθ(t))

  v(t)=(vx(t),vy(t))=(r’cosθ−rθ’sinθ,r’sinθ+rθ’cosθ)

  v’(t)=((r”−rθ’^2)cosθ−(rθ”+2r’θ’)sinθ,(r”−rθ’^2)sinθ+(rθ”+2r’θ’)cosθ+rθ’cosθ)

 ここで,

  er=(cosθ,sinθ)

  eθ=(−sinθ,cosθ)

すなわち,erはr方向の単位ベクトル,eθはそれと直交する単位ベクトルとすると

  v=r’er+rθ’eθ

  v’=(r”−rθ’^2)er+(rθ”+2r’θ’)eθ

 ニュートンの運動法則:F=mv’と万有引力の法則より

  m{(r”−rθ’^2)er+(rθ”+2r’θ’)eθ}=−GMm/r^2er

ですから,

  r”−rθ’^2=−GMm/r^2

  rθ”+2r’θ’=0

が成り立っていなければなりません.

 角運動量Lは位置ベクトルrと運動量mvの外積で定義され,その大きさは|r×mv|=mr^2θ’で表されるのですが,

  d(mr^2θ’)/dt=mr(rθ”+2r’θ’)=0

より,

  mr^2θ’=c(一定)

これは角運動量保存則にほかなりません.

 一方,面積速度は

  S(θ)=1/2∫{r(θ)}^2dθ,dS/dθ=1/2{r(θ)}^2

より

  dS(θ)/dt=1/2r^2dθ/dt=1/2r^2θ’

角運動量が時間によらないわけですから,面積速度dS/dtも時間によらず一定

  c/(2m)

となるわけです.

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[Q2]ニュートンの法則からケプラーの第3法則を導け(ニュートンからケプラーへ).

[A2]近似的に,太陽の周囲を公転する惑星の軌道が円であると仮定する.公転軌道半径R,公転角速度ω,公転周期Tとすると,

  mRω^2=GMm/R^2

  ω=√GM/R^3

  T^2=(2π/ω)^2=4π^2R^3/GM

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