■五芒星と掛谷の問題(その134)
掛谷宗一
明治19年生.明治45年,東北大学助教授に任じられる.大正9年,東京高等師範学校教授に転出したが,東北大学在職中からの積分方程式論の研究で学士院賞(恩賜賞)を授与された.のちに東京大学教授となり,学士院会員にも選ばれた.趣味は将棋で在仙中は土井晩翠と好敵手であった由である.
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掛谷の問題
長さが1である線分を1回転させるのに必要な最小面積の図形は何か
掛谷の問題は問題がだれでもわかる単純明快なものでありながら,解析学と深く結びついていて解決には相応な数学の学識と優れた数学的才能を要するものだったのである.
ところで,多くの数学者を刺激した掛谷の問題はどのようなきっかけで思いつかれたのだろうか.矢野健太郎「ゆかいな数学者たち」(新潮文庫)には,矢野が掛谷に伺ったところ,
掛谷が「昔の武士はいつ襲ってくるかもしれない不意の敵に備えて,かわやに入るときでも刀を身から離さなかった.もし襲撃されたら狭いかわやの中で刀を振り回さなければならなくなる.そこで刀を1回転させることのできるかわやの最小体積はどうなるかと考えた」と答えられたという面白いエピソードが記述されている.
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しかし、これはあくまでこぼれ話であって、実際のところは違っていると思われる。
掛谷の問題「長さが1である線分を1回転させるのに必要な最小面積の図形は何か」は, 藤原松三郎の論文にある卵形線の最大最小問題からその極限形として自然に生じた線分問題として,正多角形の内転形(凸多角形の各辺に接しながらその中で1回転できる卵形線)の考えに負うところが大きい
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