■シャボン玉の科学(その24)

【2】オイラーの多面体定理

 つぎに,3次元立体では必ず頂点に結合する辺の個数が3の頂点か3角形の面をもつことを示します.n本の辺をもつfn枚の面とn本の辺が交わるvn個の頂点をもつ凸多面体について,

 i)Σnfn=Σnvn

 ii)Σf2n+1は偶数

 iii)v3+f3>0

を順に示していきます.

(証)各辺は2個の頂点をもつから,Σnvn=2E.また,各辺では2枚の面が交わるからΣnfn=2E.

(証)i)より,Σ(2n+1)f2n+1=(偶数),したがって,Σf2n+1も偶数.

(証)E=Σen,V=Σvn,F=Σfn,Σnfn=Σnvn=2E.    もしv3=0,f3=0ならば,2E=4v4+5v5+・・・≧4V.同様に,2E≧4F.これより,V−E+F≦E/2+E/2−E=0.これはオイラーの多面体定理:V−E+F=2に矛盾するから,v3,f3のうち,少なくとも1つは0でない.

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(Q)五角形と六角形からなる多面体には五角形が常に12個ある.

(A)n本の辺をもつfn枚の面とn本の辺が交わるvn個の頂点をもつ凸多面体について,

  F=f3+f4+f5+・・・

  2E=3f3+4f4+5f5+・・・

  6F−2E≧12

に代入すると

  3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・≧12

 地図のように2つの辺に囲まれた領域まで許すことにすると,この数え上げ公式は

  4f2+3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・=12

となり,係数が1ずつ小さくなり,それが0となるf6は式中に現れない.

 このことからもf3,f4,f5の少なくとも1つは0でない→多面体には3角形か4角形面か5角形面が少なくとも1つなければならない,同様に,多面体の少なくとも1つの頂点は3次か4次か5次でなければならない→すべての頂点の次数が6以上となることは不可能であり,必ず次数が5以下の頂点をもつことが導き出される.これもオイラーが知っていた結果であるということである.

 ここで,

(1)f2=f3=f4=0だとすると,少なくとも12個のf5がなければならないことになる(フラーレン).

(2)多面体の面がすべてf5とf6であるならば,f5=12(切頂二十面体など)

(3)多面体の面がすべてf4とf6であるならば,f4=6(切頂八面体など)

(4)多面体の面がすべてf4,f6,f8であるならば,f4=f8+6(大菱形立方八面体など)

(5)多面体の面がすべてf3とf6であるならば,f3=4(切頂四面体など)

 すなわち,球面を六角形と三角形で覆うとしたら,ちょうど4個の三角形が必要である.一般に,球面を六角形とn角形で覆うとしたら,ちょうどk=12/(6−n)個のn角形が必要である.n=3,4,5のとき,

  k=12/(6−n)=4,6,12

であるが,これは正多面体の面数と同じである.これらの結果は極めて重要で,四色定理の証明の中核をなしている.

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