■整数の三角数分割

【1】整数の三角数分割

 三角数とは

  0,1,3,6,10,15,21,28,・・・,k(k+1)/2

のことですが,三角数定理(ガウス,1796年)をシンボリックに書くと

  n=△+△+△,△=k(k+1)/2

すなわち「すべての整数は3つの三角数の和によって表し得る」について,簡単な数値実験から始めることにしましょう.

 nを越えない最大の三角数をとり,その残りに対して同様に最大の三角数をとる,・・・,そして残りが三角数になるとおしまいというアルゴリズムによって,3個の三角数の和

  n=△+△+△

に分解できるように思われます.はたして,これは正しいのでしょうか?

   1=1

   2=1+1

   3=3

   4=3+1

   5=3+1+1

   6=6

   7=6+1

   8=6+1+1

   9=6+3

  10=10

  11=10+1

  12=10+1+1

  13=10+3

  14=10+3+1

  15=15

  16=15+1

  17=15+1+1

  18=15+3

  19=15+3+1

  20=15+3+1+1

  21=21

  22=21+1

  23=21+1+1

  24=21+3

  25=21+3+1

  26=21+3+1+1

 20や26では4個の三角数の和となり,このアルゴリズムは20で破綻してしまいます.しかし,これらは

  20=15+3+1+1=10+10

  26=21+3+1+1=15+10+1

のように,より少ない数の三角数和として幾通りかに表すことのでき,すべての正の整数は3個の三角数の和の形に表すことができるというのがガウスの定理です.

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【2】三角数定理の証明

 ガウスは1796年の日記に「わかった! n=△+△+△」と書いていますが,それはすべての整数は3つの3角数の和によって表しうるという意味で,m=3の場合についての証明に相当します.

 ガウスの発見は8n+3の形をしたすべての整数を3つの奇数の平方の和として表せることを意味していて,3平方和定理「8n+7の形の自然数は3つの平方数の和では表せない」を用いると「n=△+△+△」を簡単に示すことができます.

(証明)4^k(8n+7)でない奇数は3平方和で表せますから,任意の自然数nに対して8n+3=x^2+y^2+z^2と書けます.このとき,x=2p+1,y=2q+1,z=2r+1とおくと

  n=p(p+1)/2+q(q+1)/2+r(r+1)/2

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