■オイラー・ポアンカレの定理(その2)

 2次元凸多角形に対するオイラー・ポアンカレの定理は,

  v−e=0 ですから,n角形は必然的にn辺形になります.四角形は四辺形(たとえば平行四辺形)とも呼びますが,三角形に対して三辺形いう言葉はあまり耳にしません.たとえば,二等辺三角形とはいっても,二等辺三辺形とはいわないでしょう.

 

 私はこれまで「n角形はn辺形である」,すなわち,

  v−e=0

をまともに取り上げている数学書はみたことがありませんが,n角形はn辺形であるとはいっても,読者はオイラー・ポアンカレの定理のありがたみを実感し「なるほど立派な定理だ」と思うでしょうか? おそらく,何だか当たり前のことを大袈裟にいっていると感じるだけでしょう.なかには,そんなことはサルでも知っているといって怒り出す人もいるかも知れません.

 

 実際,各辺の両端には頂点が1つずつありますから,この定理は自明なのですが,それを3次元に拡張したとたんに自明ではなくなります.

  v−e+f=2  (オイラーの多面体定理)

は,もはや,サルでも知っている定理とはいえないでしょう.

 

 また,二次元における正多角形,三次元における正多面体と同じ概念が,四次元における正多胞体で,正(5,8,16,24,120,600)胞体の6種類あります.胞の個数をcで表すと,4次元空間では,

  v−e+f−c=0

というオイラー・ポアンカレの定理が成り立ちます.さらに,これらの位相不変量は5次元以上に対しても敷衍していくことができるのです.

  v−e+f−g+h−i+・・・=1±1

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