■特異点(その7)
【2】平行曲線の特異点はその曲線の縮閉線上に現れる
曲線の曲率中心の軌跡を縮閉線(エボリュート)といい,縮閉線に対してもとの曲線を伸開線(インボリュート)といいます.縮閉線の接線は伸開線の法線ですから,これら2曲線の間で測った長さは伸開線の曲率半径になります.
縮閉線は楕円や円の曲がり具合と直接関係していて,たとえば,円の各点から法線を引くと中心点に法線が集中してしまいますし,楕円の場合は4つのカスプをもつ曲線が浮かび上がってきます.
このように,縮閉線は与えられた曲線の曲率中心においてその法線と接するので,縮閉線は与えられた曲線の法線からなる直線族の包絡線(エンベロプ)を求めることにより得られることがわかります.
例をあげると,楕円:
x^2/a^2+y^2/b^2=1
の縮閉線は,4つのカスプをもつ曲線(準アステロイド)
(ax)^(2/3)+(by)^(2/3)=(a^2−b^2)^(2/3)
で,楕円の平行曲線の特異点は,その曲線の縮閉線である準アステロイド上に現れるのです.
ともあれ,アステロイドと楕円とは縮閉線と伸開線という関係にあることがわかりました.アステロイドの式を一般化すると
(x/a)^(2/n)+(y/b)^(2/n)=1
が得られます.この曲線はn=1のとき楕円,n=2のとき菱形,n=3のときアステロイドになります.nを大きくすると次第に細い星型になりますが,尖っているところは正則ではない,すなわち,特異点となります.また,この曲線は,
x=acos^nθ
y=bsin^nθ
とパラメトライズすることができます.
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