■平均(その22)

【5】雑感

 ところで,「算術平均の幾何平均」も「幾何平均の算術平均」もどちらもストレートに直感に訴える意味を持ち合わせていないように思える.一体どのような数学的意味を持っているのだろう.

1組の数(a,b)に対して算術および幾何平均を考えて,

  a←(a+b)/2

  b←√ab

と繰り返す算法を算術幾何平均法と呼ぶ.この極限M(a,b)は楕円積分

  M(a,b)=1/(2/π∫(0,π/2)dφ/√{(acosφ)^2+(bsinφ)^2})

により表すことができる(ガウス).

 すなわち,「算術平均の幾何平均」と「幾何平均の算術平均」の大小比較は算術幾何平均(楕円積分)と関係しているのである.

[参]東京理科大学数学教育研究所編「数学トレッキングツアー」教育出版

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