■平均(その13)

ムーアヘッド平均は算術平均と幾何平均の一般化になっていた.たとえば,算術平均・幾何平均の不等式

  (a^2+b^2)/2≧ab

の左辺も右辺も

  (a^xb^y+a^yb^x)/2

の特別な場合になっていることに気づかれたであろう.

 x≧y≧0として(x,y)を指標と呼ぶことにするが,左辺は指標(x,y)=(2,0),右辺は指標(x,y)=(1,1)である.また,いずれにおいてもx+y=2という条件が満たされている.

 不等式

  (a^2+b^2)/2≧ab

  M(2,0)≧M(1,1)

と書くことにするが,M(x,y)をムーアヘッド平均と呼ぶことにする.ムーアヘッド平均は算術平均と幾何平均の一般化である.

 ベキ平均を

  Mr=((a^r+b^r)/2)^(1/r)

と定義すると,

  M1=(a+b)/2 → 算術平均A

  M-1=2/(1/x+1/y)=2xy/(x+y) → 調和平均H

  M2=((a^2+b^2)/2)^(1/2) → ユークリッド平均E

となる.

 ベキ平均では(ab)^(1/2) → 幾何平均Gを定義できないという不便さがあるが,これも平均の重要な一般化である(H<G<A<E).今回のコラムでは,平均の応用として算術幾何平均を取り扱うことにする.

===================================