■ハイジのブランコとフーコーの振り子
[参]矢崎成俊「実験数学読本」日本評論社
に,アニメ「アルプスの少女ハイジ」のオープニングで,ハイジが漕いでいるブランコの長さに関するおもしろい話題があったので紹介したい.
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[1]単振動を仮定した場合
単振り子の周期Tは
T=2π√(l/g)〜2√l
で与えられる.
l=25cm→T=1秒
l=1m→T=2秒
になる.
ハイジのブランコでは,T=12秒なので,
l=T^2g/4π^2=36m
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【1】フーコーの振り子
物理の教科書に載っているフーコーの振り子(1851年)とは長い振り子の端に重りをつけて振らせたもので,地球の自転の証明に用いられた.地球の自転によって振動面が北(南)半球では右(左)回りにつ回転するように少しずつずれていく.
フーコーの振り子はパリのパンテオンのドームから吊り下げられた長さ67m,重さ28kgの振り子であった.
T=2π√(l/g)〜2√l
T=16.4秒
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[2]単振動を仮定できない場合
ハイジのブランコは70°くらい振れるいるので,単振動の振幅が小さいという仮定を逸脱している.
そこで,楕円積分Kを用いると
T=4K√(l/g)
θ=70°=7π/18,k=sinθ=0.57→K=1.73〜√3
ハイジのブランコでは,T=12秒なので,
l=T^2g/16K^2=29m
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[結論] ハイジのブランコの長さは,約30mである.
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