■因数分解のはなし(その1)
一松信「数学とコンピュータ」共立出版
を読んで知ったことであるが,是非ここで紹介(受け売り)しておきたい.
中学校の課題研究の際,Mathematicaに「x^4+1を因数分解せよ」と入力しても「因数分解できません」と返ってきた.x^4+2,x^4+3も同様である. ところが,x^4+4に対しては
x^4+4=(x^2+2x+2)(x^2−2x+2)
という結果が返ってきて驚かされた.
さらに,x^4+5,x^4+9,x^4+16,x^4+25,・・・と試みても「因数分解できません」という結果であったが,根気強く続けて,x^4+64では
x^4+64=(x^2+4x+8)(x^2−4x+8)
とうまくいった.
よくよく理由を考えてみると,一般式
(x^2+c)^2−(bx)^2=x^4+(2c−b^2)x^2+c^2
=(x^2+bx+c)(x^2−bx+c)
において,2c=b^2の特別な場合になっていること.また,この変形はあまりに技巧的で高校数学のカリキュラムからも消えているのだが,それを数式処理システムを使って発見的に得ることができたことなど,数式処理システムの効用についてのエピソードであるが,数式処理システムが数学研究のみならず,数学教育にも有効と考えられる所以である.
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x^6−1=(x+1)(x−1)(x^2+x+1)(x^2−x+1)
x^16−1=(x−1)(x+1)(x^2+1)(x^4+1)(x^8+1)
x^18−1=(x−1)(x+1)(x^2+x+1)(x^2−x+1)(x^6+x^3+1)(x^6−x^3+1)
以下の式はMathematicaで因数分解可能.
Factor[x^1000000 - 1]
次の式は,理論的には因数分解できるが,Mathematicaではエラー(処理規模を超える指数)となることがわかった.
Factor[x^10000000 - 1]
要はMathematicaで因数分解できないが,実際は因数分解ができるような多項式は存在する.このような場合,エラーメッセージがでるケースとそうでない場合があるということだ.
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