■イータ関数=テータ関数(その26)
【3】重さ0の保型形式とムーンシャイン予想
SL(2,Z)群上,最も単純な(基本的・古典的)保型形式は重さkのアイゼンシュタイン級数
Ek=1/2Σ1/(mz+n)^k
m,nは互いに素,kは整数4,6,8,・・・(4以上の偶数)
です.すなわち,アイゼンシュタイン級数は変換公式
Ek(az+b/cz+d)=(cz+d)^kEk(z)
c,dは互いに素
を満たすというわけです.
保型性の定義から
Ek(z+1)=Ek(z)
Ek(-1/z)=z^kEk(z)
はすぐわかりますが,前者は周期性,後者は双対性と理解することができます.
Ek(z+1)=Ek(z) (周期性)
Ek(-1/z)=z^kEk(z) (双対性)
この保型性の定義は周期性f(x+1)=f(x)を含むので,任意の保型形式はq=exp(2πiz)とするフーリエ展開のもち,
E4(z)=1+240Σσ3(n)q^n
E6(z)=1−504Σσ5(n)q^n
E8(z)=1+480Σσ7(n)q^n
・・・・・・・・・・・・・・・・
σk(n)はnの正の約数のk乗和
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ベルヌーイ数を用いると
Ek(z)=1−2k/BkΣσk-1(n)q^n
また,ζ(1-k)=−Bk/kにより
Ek(z)=1−2/ζ(1-k)Σσk-1(n)q^n
とも表されます.これらはすべてのσk(n)を教えてくれる母関数であり,それが保型性を示しているという事実が,モジュラー関数は深淵といわれる所以です.
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アイゼンシュタイン級数を用いると
Δ(z)=η(z)^24=qΠ(1-q^n)^24
=q-24q^2+252q^3-1472q^4+5483q^5+・・・
は
Δ(z)=1/1732(E4(z)^3-E6(z)^2)
と表されます.
19世紀の後半,デデキントとクラインは独立に重さ0の保型関数
j(az+b/cz+d)=j(z)
を構成しました.j(z)は最も簡単でよく知られているSL(2,Z)不変な保型関数で,q=exp(2πiz)とおくと,
j(z)=E4(z)^3/Δ(z)
=1/q+744+196884q+21493760q^2+864299970q^3+・・・
と展開されます.
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