■シュワルツの不等式

[1]2乗可積分な関数f,gに対して,以下の不等式が成立する.

 (∫f^2∫g^2)^(1/2)≧∫fg

 

(証明)

  ∫(tf−g)^2dx=t^2∫f^2−2t∫fg+∫g^2≧0

 したがって,tを変数とする2次式の判別式

  D=(∫fg)^2−(∫f^2∫g^2)≦0

 等号はg=cf   (c:定数)のとき

 

[2]Δをm次対称行列,行列の固有値をλ1,・・・,λmとする.f,gを2乗可積分な関数とすると,

  |∫(Δf,g)|=|∫(f,Δg)|≦max|λi|(∫f^2∫g^2)^(1/2)

  |∫(Δf,g)|=|∫(f,Δg)|≦max|Δij|(∫f^2∫g^2)^(1/2)

 

(証明)

 正の対称行列は適当な座標の回転(ユニタリ変換)により,対角行列(対角要素以外はすべて0の行列)で表現可能である.このとき,

  〈f,g〉:=(Δf,g)=(f,Δg)=ΣΔijfigj

の値は不変であるから,変換後の座標で計算すると

  |(Δf,g)|=|(f,Δg)|≦Σ|λi||f||g|

|λi|≦max|λi|を適用すると,[1]より

  ∫|(Δf,g)|=∫|(f,Δg)|≦max|λi|(∫f^2∫g^2)^(1/2)

が成り立つ.

 

 また,これにより

  |∫(Δf,g)|=|∫(f,Δg)|≦max|Δij|(∫f^2∫g^2)^(1/2)

は自明である.

 

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