■最期の一息(その2)
アボガドロ数は物質1モルが含む分子の個数=6.023×10^23,ロシュミット数は0℃,1気圧の気体,1ml中の分子の個数=2.687×10^19.その巨大さについて,ジーンズは面白い話を書いている.
[Q]シーザーの死後,その肺の中にあった空気が大気中に一様に拡散したとする.今日私たちの肺中にこの分子は何個はいっているだろうか?
[A]10個程度
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ところ変われば,品変わる.ドイツであればシーザー(ブルータス,お前もか)ではなく,ゲーテ(もっと光を)ということになる.
ゲーテが息を引き取る際に吐いた息を1リットル=1/25モルとする.地球の大気の全質量は5×10^21グラム,1モルの空気は約30gであるから,1.7×10^21モル.
これらの数値から,私たちが1回の呼吸で吸い込む息のなかに,ゲーテが息を引き取る際に吐きだし息のうち,6分子が含まれている計算になるのだそうだ.
ちなみに,
[Q]コップ1杯の水を海中に流し,これが海洋中に一様に拡散したとする.海水中からふたたびコップ1杯の水を汲みあげるとき,コップ中にこの分子は何個存在するだろうか?
[A]1000個程度
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