■平方和分割とテータ関数(その32)
【3】n=x^2+y^2
和の順序や整数の正負も区別すると,2は2つの平方数の和で4通りに表せる.
2=(±1)^2+(±1)^2
しかし,3は2つの平方数の和では表せない数である.5は
5=(±2)^2+(±1)^2
5=(±1)^2+(±2)^2
と書けるから8通りに表せる.そこで
[Q]正の整数nを2つの平方数の和で表す方法は,平均して何通りあるか?
[A]たとえば,1,2,・・・,10の表し方の個数はそれぞれ,4,4,0,4,8,0,0,4,4,8だから,平均は3.6である.128までのとき,平均は3.15625となるそうだ.
平均してπ通りあるのだが,共通点がなにもないようなこんな意外なところになぜπが出てくるのだろうか? πは2つの異質な対象を密接に関係づけるのだが,πについての別のおもしろい問題「互いに素となる整数」がある.
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1つの数が素数piによって割り切れる確率は1/pi,両方の数が同じ素数で割り切れる確率は1/pi^2になります.2つの数がどちらもpiで割り切れない確率は1−1/pi^2ですから,互いに素である確率はΠ(1−1/pi^2).
ここで,
Π1/(1−1/pi^2)=Π(1+1/pi^2+1/pi^4+・・・)=Σ1/n^2=ζ(2)
したがって,2つの整数が互いに素である確率は1/ζ(2)=6/π^2(0.608)すなわち,2つの無作為に選んだ整数が互いに素である確率は1/ζ(2)=6/π^2 (61%)となります.
同様にして3つの整数が互いに素である確率は1/ζ(3)=0.832、4つの整数が互いに素である確率は1/ζ(4)=90/π^4(0.9239)を得ることができます.オイラー積により,1/ζ(s)はs個の整数を勝手に選んだとき,同時に割り切ることのできる1でない数が存在しない確率であることがわかります.
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