■平方和分割とテータ関数(その27)

たとえば,m=5,n=−5とすると

  F=mx^2y−nyx2−(x−y)z^2

   =5x1^2x2+5x1x2^2+x1x0^2−x2x0^2=0

この上の点P=(x)=(x0,x1,x2)=(30,4,5)とすると,

  2P=(62279,11532,28812)

 

 次に

  φ(x,y,z)=(y(z^2−mx^2)=x(z^2−ny^2),2xyz,y(z^2+mx^2),x(z^2−ny^2))

を用いて,整数点φ(P),φ(2P)を計算すると,

  φ(P)=(41,12,49,31)

   →41^2+5・12^2=49^2

    41^2−5・12^2=31^2

  φ(2P)=(3344161,1494696,4728001,−113279)

   →3344161^2+5・1494696^2=4728001^2

    3344161^2−5・1494696^2=(−113279)^2

 

 この節の最後に,オイラーによる楕円曲線:y^2=ax^3+bx^2+cx+dの解法を紹介しましょう.

 

 d=f^2とする.gを未知数として,ax^3+bx^2+cx+f^2=(gx+f)^2なる関係を考える.c=2fgになるようにgを定めれば,ax+b=g^2.したがって,

  x=(g^2−b)/a=(c^2−4bf^2)/4af^2

なる有理数解を得る.

 

 手品のようですが,幾何学的に考えると

  F(x,y)=y^2−ax^3−bx^2−cx−f^2

の点(0,f)における接線の方程式は−cx+2f(y−f)=0.ここで,c=2fgと定めるとy=gx+fになる.曲線は3次で,接点では2重に交わるから,第3の交点(有理点)が1つ決まるのです.

 

  y^2=ax^4+bx^3+cx^2+dx+e では,e=f^2,d=2gf,c=g^2+2hfとおくと,ax^4+bx^3+cx^2+dx+f^2=(hx^2+gx+f)^2より,ax+b=h^2+2hg.したがって,

  x=(b−2hg)/(h^2−a)

なる解が得られます.

 

  y^3=ax^3+bx^2+cx+d

の場合も同様に解くことができますが,これらの方法は実質的にはディオファントスまでさかのぼることができます.

 

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