■平方和分割とテータ関数(その21)
【2】テータ関数の零点と無限積表示
θ3(z+1)=θ3(z)
θ3(z+τ)=Aθ3(z),A=q^(-1)y^(-2)
を拡張すると
θ3(z+m+nτ)=q^(-n^2)y^(-2n)θ3(z)
ですが,テータ関数の零点が
θ3(m+nτ+1/2+τ/2)=0 (m,nは整数)
(証明は帰納法による)であることより,テータ関数の無限積表示
θ3(z)=Π(1−q^2m)(1+q^(2m-1)y^2)(1+q^(2m-1)y^(-2))
が得られます.
同様に
θ4(z+m+nτ)=(-1)^nq^(-n^2)y^(-2n)θ4(z)
θ2(z+m+nτ)=(-1)^mq^(-n^2)y^(-2n)θ2(z)
θ1(z+m+nτ)=(-1)^(m+n)q^(-n^2)y^(-2n)θ1(z)
θ4(m+nτ+τ/2)=0
θ2(m+nτ+1/2)=0
θ1(m+nτ)=0
より
θ4(z)=Π(1−q^2m)(1−q^(2m-1)y^2)(1−q^(2m-1)y^(-2))
θ2(z)=2q^(1/4)cosπzΠ(1−q^2m)(1+q^2my^2)(1+q^2my^(-2))
θ1(z)=2q^(1/4)sinπzΠ(1−q^2m)(1−q^2my^2)(1−q^2my^(-2))
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ヤコビのテータ関数
θ3(z)=1+2Σq^(n^2)cos(2nπz)
は指数関数(周期関数)に対応しているのですが,ヤコビはテータ関数を使うことによって,ヤコビの楕円関数(二重周期関数)を表すことにも成功しています.
このように楕円関数論ではθkがzについて擬2重周期(1,τ)をもつ関数として互いに関係する点に注目するのに対して,物理ではθkのτについてのモジュラー関数として着目します.
そこで,簡単のため,z=0(y=1)とおいたものをθk(τ)とかくと,
θ3(τ)=Π(1−q^2m)(1+q^(2m-1))^2
θ4(τ)=Π(1−q^2m)(1−q^(2m-1))^2
θ2(τ)=2q^(1/4)Π(1−q^2m)(1+q^2m)^2
θ1(τ)=0
θ1'(τ)=dθ1/dz|(z=0)=2πq^(1/4)Π(1−q^2m)^3
となります.
また,これらより
πθ2(τ)θ3(τ)θ4(τ)=θ1'(τ)
θ3^4(τ)=θ2^4(τ)+θ4^4(τ)
などの関係式を導き出すことができます.
ここからはデデキントのイータ関数との関係で
q=exp(2πiτ)
としますが,周期性
θ3(τ+1)=θ4(τ)
θ4(τ+1)=θ3(τ)
θ2(τ+1)=θ2(τ)exp(πi4)
双対性については,ポアソンの和公式を用いて求めます.
θ3(−1/τ)=θ3(τ)(−iτ)^(1/2)
θ4(−1/τ)=θ2(τ)(−iτ)^(1/2)
θ2(−1/τ)=θ4(τ)(−iτ)^(1/2)
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