■等周不等式(その6)

【3】定幅図形

 

 等周不等式は,考察する対象を定幅図形に制限したうえでも活発に研究されています.

 

 平面における定幅図形(いかなる方向に関しても等しい幅をもっている図形)は円だけではなく,そのような形状は無数にあります.定幅図形の中で最大の面積をもつものは円であり,最小の面積をもつものはルーローの三角形です(ルベーグ1914年).

 

 ルーローの三角形とは,一辺の長さaの正三角形(2次元単体)の各頂点を中心にして半径aの円弧を描くと作られる,3つの円弧からなる等辺円弧三角形です.また,各角内に半径a+r,各対角内に半径rの円を描いても定幅曲線が得られます.正三角形の代わりに正(2q+1)角形についても同様です.

 

 また,ルーローの単体とは正四面体(3次元単体)の各頂点を中心にして辺長を半径として球面を描くと作られる定幅曲面です.ルーローの三角形を3次元に拡張した図形であり,マイスナーの凸体とも呼ばれます.体積が最小となる定幅図形と信じられていますが,証明されてはいません.一般に,3次元以上のd次元のとき,定幅で体積が最大のものはd次元球ですが,体積最小のものは解明されていないのです.

 

 さらにまた,円ではそのまわりに6個の円,球ではそのまわりに12個の球を配置できますが,ルーローの三角形では,そのまわりには7個のルーローの三角形を接触するように配置できます.

 

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