■素数の存在する領域(その2)
十分大きなnに対して、
[n^3,(n+1)^3]
には常に1個の素数が存在する。
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1947年,ミルズはある定数Aが存在し,すべてのnに対して素数だけしか与えない公式
pn=[A^3^n]
を示した.
1.306377883863<A<1.306377883869
p1=2,p2=11,p3=1361,p4=2521008887
この公式ですべての素数を生み出せるわけではないが,任意の大きな素数を得ることができるようになった.
ミルズは,定数Aを作るために,十分大きなnに対してn^3と(n+1)^3−1の間には常に素数が1個存在するという事実を利用した.実はこの式から作り出されるすべての素数は定数Aのなかにそっと埋め込まれている.すなわち,この式では定数Aをpnからある種の姑息な方法で計算して決めているため,本当の閉じた式であるとは考えにくい.
ともあれ,任意に大きい素数を与えることができ,しかも素数しか与えない実用になる式はこれまでのところ見つかっていないのである.
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ここでは,ある定数cと十分に大きい任意の素数pとθ=1051/1920に対して.pとp+cp^θの間に素数が必ず存在する(自明でない)事実を使って,そのような定数Aが存在することをす証明しよう.
重要なことはθ<2/3であることである.p1を十分大きくとり,pnをpn-1^3より大きい最も小さい素数とする.
an=3^-nlnpn,bn=3^-nln(pn+1)
として,もしan-1≦an<bn≦bn-1であることを示すことができれば
A=e^an (n→∞)
とすることができる.
この条件は
pn-1^3≦pn<(pn-1+1)^3
と同じで,もしこの間に素数pnが存在しなければ素数p<pn-1^3で,
p+cp^θ>(pn-1+1)^3
となるものが存在しなければならない.しかし,これはcp^θ>3p^2/3であることを意味し,pが十分大きければ不可能である.
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