■3次元図形数とフラーの定理(その5)

 三角数,四角数,・・・などを2次元図形数と呼ぶならば,正四面体数,正四角錐数,正八面体数,立方八面体数,切頂四面体数,切頂八面体数,・・・などは3次元図形数と称することができます.

  [参]コンウェイ,ガイ「数の本」シュプリンガー・フェアラーク東京

によると,

 正四面体数=n(n+1)(n+2)/6

 正四角錐数=n(n+1)(2n+1)/6

 正八面体数=n(2n^2+1)/3

 切頂四面体数=n(23n^2−27n+10)/6

 切頂八面体数=16n^3−33n^2+24n−6

とあります.

 正四角錐数が

  1^2+2^2+3^2+・・・+n^2=n(n+1)(2n+1)/6

となることは理解しやすいと思いますが,これらの図形数はO(n^3)になります.

 それでは球を立方最密充填したとき,各多面体の表面にはいくつの球が並ぶのでしょうか?

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【1】フラーの定理

 各辺にn+1個の合同な球を配置して,正四面体,正四角錐,正八面体,立方八面体,切頂四面体,切頂八面体を立方最密充填したとき,周辺の球の総数は,それぞれb=2,3,4,10,14,30として

  bn^2+2

となる.

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【2】雑感

 フラーの定理では周辺の球の総数はもちろんO(n^2)となっているが,n=1のとき,それは各多面体の頂点数のはずであるが,しかるに,

                 フラーの定理

  正四面体の頂点数=4     2+2=4

  正四角錐の頂点数=5     3+2=5

  正八面体の頂点数=6     4+2=6

  立方八面体の頂点数=12   10+2=12

  切頂四面体の頂点数=12   14+2=16

  切頂八面体の頂点数=24   30+2=32

である.

 切頂四面体,切頂八面体の場合は明らかに合致しない.フラーの定理への疑義を感じたのだが,正六角形面の中心にも球を配置することができるから,

  切頂四面体の頂点数+正六角形面数=12+4   14+2=16

  切頂八面体の頂点数+正六角形面数=24+8   30+2=32

となって,小生の解釈の間違いであるころがわかった.

 なお,

  [参]コンウェイ,ガイ「数の本」シュプリンガー・フェアラーク東京

には立方八面体数は記されていなかったが,そのかわり

 星状八面体数=n(2n^2−1)

 体心立方数=n^3+(n−1)^3=(2n−1)(n^2−n+1)

 菱形12面体数=(2n−1)(2n^2−2n+1)

が掲げられている.

2n(n+1)(n+2)/3はこれらとも異なっている

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