■ガロアと置換(その11)

一般的な4次方程式のガロア群は、解の4!=24通りの置換からなっている。この群にはどんどん小さくなっていく一連の正規部分群があって、その大きさは

24,12,4,2,1

である。

24/12=2(素数)

12/4=2(素数)

4/2=2(素数)

2/1=2(素数)

となる。

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五次方程式には5つの解があって、置換は5!=120通り

その一連の正規部分群は

120,60,1

である。

120/60(素数)であるが

60/1=60(非素数)

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5次方程式を根によって解くことはできないことを示すのはがロアにとってあまりに簡単で、

5次方程式が解けないことの証明を実際に書き下してはいない。わざわざ言及するまでもなかったのである。

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 S5の位数は5!=120,群表は120×120,A5の位数は5!/2=60,群表は60×60となります.どの正多面体もS5の回転対称性をもってはいないのですが,A5は正12面体あるいは正20面体の回転対称性を表現しています.5次交代群A5の基本関係式は

  a^3=b^5=(ab)^2=1

となります.

 A5も非可換で,恒等置換以外には不変部分群をもっていません.

  S5>A5>{Id}

不変部分群をもたない群は単純群と呼ばれるのですが,A5は最小の非可換な単純群です(ガロアの定理).ベキ根による可解性を決定づけるものは可換性なのであって,任意の可換群は可解群です(逆は成立しない).

 このことから一般の5次方程式が四則演算とベキ根によっては解けないことがわかるのです.なお,S5の回転対称性をもつ正多面体が存在しないことと5次方程式の非可解性の間には因果関係は存在しないので誤解なさらないように!

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