■ガロアと置換(その10)
一般的な4次方程式のガロア群は、解の4!=24通りの置換からなっている。この群にはどんどん小さくなっていく一連の正規部分群があって、その大きさは
24,12,4,2,1
である。
24/12=2(素数)
12/4=2(素数)
4/2=2(素数)
2/1=2(素数)
となる。
===================================
五次方程式には5つの解があって、置換は5!=120通り
その一連の正規部分群は
120,60,1
である。
120/60(素数)であるが
60/1=60(非素数)
===================================
5次方程式を根によって解くことはできないことを示すのはがロアにとってあまりに簡単で、
5次方程式が解けないことの証明を実際に書き下してはいない。わざわざ言及するまでもなかったのである。
===================================
4文字1,2,3,4の置換全体のなす群が4次対称群S4で,その位数は4!=24です.S4は2つの生成元a,bによって生成され,基本関係式は
a^3=b^4=(ab)^2=1
なります.
S4の場合,正方形ではなく正四面体を幾何学的にイメージすることになるのですが,互換は正四面体の回転として捉えることはできず,鏡映変換を必要とします.
S3同様,S4は回転と互換の両方を含んでいるのですが,互換を含めて空間的な回転だけでS4を表現するには,立方体の4本の対角線あるいは正八面体の向かい合う面の中心を結ぶ4本の線分を使うことになります.
S4は立方体あるいは正八面体の回転対称性であり,S4の偶置換からなる部分群A4は正四面体の回転対称性を表すのですが,4次交代群A4のの基本関係式は
a^3=b^3=(ab)^2=1
となります.しかし,S4の位数は4!=24,群表は24×24,A4の位数は4!/2=12,群表は12×12になるので,大きすぎてここでは紹介できません.
S4もA4も非可換なのですが,A4のなかに可換な部分群V(位数4)が含まれています.Vは可換群ではあるが巡回群C4ではありません.実はD2=C2×C2なのですが,これについては後述することにします.ともあれ,可解鎖
S4>A4>{Id,V}>{Id}
よりS4は可解群であることがわかります.このように可換な不変部分群を見つけることで,4次方程式を3次方程式に還元することが可能になるのです.
===================================