■地球の赤道と極地のパラドックス(その3)
半径1の半球を底面と平行な平面y=aで切って,体積を2等分するにはどこで切ればよいか−−−「まんじゅう等分問題」を解いてみよう.
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【1】まんじゅう等分問題
y=f(x)>0のグラフをx軸を中心に回転させてできる回転体の体積は
V[y]=π∫y^2dx
で与えられる.y=(1-x^2)^(1/2)とおくと
V[y]=π∫(1-x^2)dx
したがって,
π∫(0,a)(1-x^2)dx=π(3a-a^3)/3
が球全体の1/4になればよい.
π∫(0,a)(1-x^2)dx=π(3a-a^3)/3=π/3
a^3-3a+1=0
a=0.3472963553=2cos10
ついでに,半球の表面積を2等分するにはどこで切ればよいかの解も求めておこう.y=f(x)>0のグラフをx軸を中心に回転させてできる曲面の面積は
S[y]=2π∫y(1+(y')^2)^1/2dx
で与えられるから,y=(1-x^2)^(1/2)とおくと
S[y]=2π∫(0,a)dx=2πa=0.5/2・4π
より
a=0.5=sin30
と求められる.
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【2】ボレルのパラドックス
「まんじゅう等分問題」に関連して,ボレルのパラドックスと呼ばれる問題を取り上げたい.
[Q]地球の表面上の1点を無作為に選ぶき,その緯度が北緯30°以上である確率を求めよ.
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[A1]その点の経度がα°である円周を考える.北緯30°以上である確率はこの円周の1/3である.
[A2]北半球だけを考えると赤道から北緯30°のベルトの面積と北緯30°以上の極地の面積は等しい.したがって,球面全体の面積を考えると,北緯30°以上の極地の面積はその1/4である.
どちらが正しいだろうか? 正解は[A2]である.n次元球面を考えるともっとややこしくなるが,[A2]のやりかたで問題は解決する.
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