■列車のパラドックス
【2】列車のパラドックス
列車が動くとき,その列車のすべての部分が進行方向に向かって進んでいるわけではなく,車輪の一部は常に進行方向とは逆に動くというのが「列車のパラドックス」です.
車輪が回転するとき,どの部分も動いている速度は同じに思えますが,実はそうではないのです.円が直線上を滑らずに回転するとき,その円の円周上の定点が描く曲線がサイクロイドですが,円上の点Pが同じ時間で移動する距離は場所ごとに異なります.
点Pがサイクロイドの頂点にあるとき,すなわち,直線からもっとも離れた点では単位時間内に長い距離を移動するので,移動速度は最速となり,他の点より常に速く動いています.点Pが直線に接しているとき移動する向きが変わるため,移動速度は0になります.フリンジ(車輪のつばの部分)のように車輪の外側に置かれた定点はトロコイドを描きますから,進行方向とは逆向きに動いていることもあるのです.
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