■アリストテレスの輪のパラドックス

 パラドックスというとゼノンのパラドックス,とりわけアキレスとカメが有名ですが,幾何学のパラドックスといえば,すべての三角形は二等辺三角形であるとか,すべての円の周長は等しいとか,・・・があります.

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【1】アリストテレスの輪のパラドックス

 大きな円と小さな円を中心を重ねて固定します.同心円となるわけですが,大きな円が直線上を1回転するとき,同心の小さな円もそれと平行な直線上を1回転します.したがって,任意の2つの円周は等しくなり,すべての円の周の長さは等しいことが証明されます.

 しかし,これでは明らかにおかしく「アリストテレスの輪のパラドックス」と呼ばれます.このトリックは,大きな円は滑らないで回転するが,小さな円大きな円に引きずられながら回転していて,ある程度すべるということに気付けば解決できます.

 ガリレオは2つの円を正方形のような正多角形2個で置き換えてみるとわかりやすくなることに気づきました.同心の正方形2つからなる車輪を考えると,大正方形が1回転した後に小正方形の軌道には3箇所の隙間を生じます.すなわち,小さな正方形も円(正多角形の極限)も滑りながら進んでいるというわけです.

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