■有限群の位数と超幾何関数(その7)
【2】福原・大橋の初等関数解
福原・大橋は初等関数で表される場合を解決しました(1949,1955).初等関数で表せるとは,ベキ関数・有理式とそれらの積分記号,微分記号で解が表せることをいいます.
その条件とは,リーマン指標(λ,μ,ν)で,
正2面体群:(1/2,1/2,ν)
正4面体群:(1/2,1/3,1/3)
正8面体群:(1/2,1/3,1/4)
正4面体群:(1/3,1/3,1/3) (整数部分の和=奇数)
正8面体群:(1/3,1/4,1/4) (整数部分の和=奇数)
とλ+μ+ν=奇数となる場合です.この表でも,λ,μ,νの順序を変えることによる重複は避けています.
λ+μ+ν=奇数の場合を除いて,福原・大橋の表では分母が2,3,4,の有理数で,これらはシュワルツの正2面体群,正4面体群,正8面体群に対応しています.福原・大橋の表にはシュワルツの表の正20面体群(分母が5)は含まれません.また,1/2を含まない型では,整数部分の和は奇数に限られます.
λ+μ+ν=奇数という条件は,シュワルツの表には含まれていません.すなわち,福原・大橋の表はシュワルツがやり残したλ,μ,νのうちいくつかが整数となる特殊な場合を含んでいることになります.また,シュワルツの表の正4面体群,正8面体群,正20面体群は福原・大橋の表に含まれるので,初等関数で表される場合になります.
結局,代数関数,初等関数,その他で表されるかどうかを見るには,リーマン指標(λ,μ,ν)が,λ+μ+ν=奇数となるか,シュワルツの表の条件を満たす有理数になるかを見れば十分であることがわかります.
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