■正20面体と正12面体(その30)

シャープが、正二十面体は立方体から作るより、三角形面を天地にした直方体から作るほうが材料の無駄がないと言っていますが、そうでしょうか?  (中川宏)

直方体の体積は立方体の2/3・φ>1となった。・・・シャープの言明(私の直観も)は誤りのようである

同じ問題を正十二面体について考えてみたい。五角形面を天地にした直方体である。

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正12面体の二面角はcosδ=(-√5)/5,tanδ=-2で与えられる。

また1辺の長さ1のとき、その体積は(15+7√5)/4=7/2・φ^2

立方体の体積は(φ^2)^3=φ^6

正12面体の体積/立方体の体積=7/2・1/φ^4

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1辺の長さ(1+φ^-2)^1/2=(√5φ^-1)^1/2のとき、投影面は正十角形となり、その対角線の長さは

φ^-1+(1+φ^2)/2+φ/2=2φ

これに外接する長方形の面積は2φ・2φcos18=φ^2・(4√5φ)^1/2

直方体の高さはφ^2であるから直方体の体積はφ^4・(4√5φ)^1/2

1辺の長さ1に換算すると直方体の体積はφ^4・(4√5φ)^1/2/(√5φ^-1)^1/2/(√5φ^-1) =2φ^5/(√5φ^-1)=2/√5・φ^6

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2/√5・φ^6<φ^6で体積は立方体より小さくなってしまう。

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  φ^-4=−3φ+5、 √5φ^-4=7φ−11

  φ^-3=2φ−3、 √5φ^-3=-4φ+7

  φ^-2=−φ+2、 √5φ^-2=3φ−4

  φ^-1=φ−1、 √5φ^-1=−φ+3

  φ^0=1、 √5φ^0=2φ−1

  φ^1=φ、 √5φ^1=φ+2

  φ^2=φ+1、 √5φ^2=3φ+1

  φ^3=2φ+1、 √5φ^3=4φ+3

  φ^4=3φ+2、 √5φ^4=7φ+4

  φ^5=5φ+3、 √5φ^5=11φ+7

  φ^6=8φ+5、 √5φ^6=18φ+11

 右辺mφ+nの係数m,nはフィボナッチ数列をなす.

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